青森県 五所川原市 交通事故 自賠責保険 被害者請求 後遺障害 第三者行為 行政書士 社会保険労務士







健康保険は使えます


健康保険はおトク

休業損害(傷病手当金)

治療費は誰が支払うべきか

なぜ保険会社は治療費を支払いたがるのか?

保険会社の担当医師は医師法違反の可能性?

医療機関にとって交通事故患者はウレシイお客さん

医療機関と保険会社

交通事故被害者の保護よりも7割回収を急ぐ保険者



交通事故と労災保険

自賠責保険優先のウソ

休業損害が最大120%

人身傷害補償保険(特約)

被災労働者保護よりも保険給付金の回収を急ぐ労働基準監督暑



交通事故被害者救済のため、国が定めた最低限の補償

支払基準

被害者請求

仮払い・内払い

被害者保護を目的とした過失相殺

任意一括の問題点

損害保険料率算出機構は味方か?



裁判所基準と自賠責基準

示談と損害賠償額

過失相殺割合は誰が決める

後遺障害の逸失利益は注意が必要

休業損害はいつ支払われる?

保険会社との示談交渉は時間の無駄

保険会社による治療妨害

示談以外の解決手段



障害等級は誰が決定する?

慰謝料と逸失利益

複数の後遺障害等級

事前認定の落とし穴

障害等級の異議申立

様々な公的保障


 檜川社会保険労務士・行政書士事務所
    
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1.健康保険は使えます

 まずは元厚生労働省の公務員らしく、古い通達を紹介します。



 健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて

( 昭和 43 年 10 月 12 日保険発第 106 号)
厚生省保険局保険課長国民健康保険課長から各都道府県民生主管部 ( 局 ) 長宛


 自動車による保険事故の急増に伴い、健康保険法第 67 条 (現行57条)( 第 69 条ノ 2(現行該当条文なし) において準用する場合を含む。) 又は国民健康保険法第 64 条第 1 項の規定による求償事務が増加している現状にかんがみ、自動車損害賠償保障法の規定に基づく自動車損害賠償責任保険等に対する保険者の求償事務を下記により取扱うこととしたので、今後、この通知によるよう保険者に対し、必要な指導を行われたい。
 
なお、最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変りがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。
 
また、健康保険法施行規則第 52 条又は国民健康保険法施行規則第 32 条の 2 の規定に基づく被保険者からの第三者の行為による被害の届け出を励行されるよう併せて指導されたい。
 おって、この取扱いについては、運輸省並びに自動車保険料率算定会及び全国共済農業協同組合連合会と協議済みであり、自動車保険料率算定会及び全国共済農業協同組合連合会から、各保険会社及び各査定事務所並びに各都道府県共済農業協同組合連合会に対して通知が行われることとなっているので、念のため申し添える。


 通達をご覧いただいて、いかがでしょうか?
 交通事故でも健康保険が使える旨を旧厚生省は、明確にしています。
 ただし、そもそも健康保険の給付対象外(労災事故、自己の故意の犯罪行為、泥酔事故など)の場合は別です。
 しかし、40年も前にこのような通達があるにも関わらず、なぜ医療機関は交通事故に健康保険が使えないと患者に説明するのであろうか?

 一つは、日本医師会の見解です。
 もちろん「健康保険は使えない」なんて、さすがに公言しているわけではなく、
  一,交通災害に対する診療は、災害医療の範疇に属するものであり、一般傷害に対する健
   康保険診療と異質のものである。
  二,ひき逃げ、または無保険者による場合を除き、自賠法優先を認めるべきであり、行政
   上の取り扱いも、できるだけ自賠法の優先適用という方向をとらなければならない。
 と独自の見解をもっていますから、この見解が正しいものと信じている医療機関は「交通事故=自賠責保険=自由診療」と勘違いしているのかもしれません。

 二つ目は、医療機関は営利企業じゃないけれども、やはり赤字じゃつぶれてしまいます。
 そこで、健康保険を使わずに自由診療になれば、通常1点=10円が15円でも20円でも30円でも患者が合意したならば、それで構わないのだから、医療機関としても自由診療にしてほしいのが本音です。

 その他にも、多くの医療機関に愛用されているとされる『Q&A交通事故診療ハンドブック改訂版 医療機関のためのガイドラインと患者対応のノウハウ 日本臨床整形外科学会編集 ぎょうせい発行』を拝見する限り、患者(交通事故被害者)救済というよりも、医療機関の立場を優先しているように感じられます。

 いずれにしても
「健康保険は交通事故に使える」ということです。
 ただし、
「第三者の行為による傷病届」を交通事故証明書などの書類を添付して保険者に届出なければなりません。

2.健康保険はおトク

 健康保険を使うことにより、1点=10円の場合であっても、被害者が自由診療よりも有利になる場合があります。
 それは、交通事故で健康保険を使用した場合、保険者(健康保険組合、けんぽ協会など)は、保険者が医療機関に支払った医療費などの7割を加害者側に請求(求償)します。

 あれっと思いませんか?
 3割は後で加害者などに請求するとしても被害者負担、7割は加害者負担なのだから合計すれば10割となります。
 医師会は、交通事故に健康保険など公的給付がなされれば、社会保障制度がパンクする恐れがるような意味の見解も示していますが、保険者が加害者側に7割を求償するのだから、そのような見解はは変な気がします。

 さて、交通事故を経験された方であれば「過失相殺」という言葉はご存知のことと思います。
 交通事故は、加害者だけでなく被害者にも事故の原因があるのだから、被害者の責任まで加害者に負わせることは適切ではないということで、その責任(過失)分を減額(相殺)しましょうということです。
 20対80とか50対50とか言われるやつですね。

 被害者に40%過失があった場合、その治療費はどうなるのであろうか?
 治療費が100万円(1点=10円)だった場合、自由診療では加害者から加害者の過失分として、6割の60万円が支払われることになり、40万円は自己負担ということになります。
 もちろん、休業損害や慰謝料などありますので、必ずしも負担しなければならにというわけではありませんが・・・。

 では健康保険を使った場合はどうかといえば、100万円のうち、3割が自己負担なので30万円が被害者の負担となりますが、この30万円のうち6割である18万円は加害者に請求できますので、12万円が自己負担ということです。
 問題は保険者が医療機関に支払った残りの70万円の行方です。
 保険者が70万円を加害者に請求(求償)したとしても、加害者は自分の責任(過失)は6割なんだからといって、42万円(70万円×6割)を保険者に支払います。
 残りの28万円はどうなるのかといえば、保険者から被保険者である被害者に請求されるのではなく、そのまま保険者の負担になるのです。
 また、医療費には高額療養費の制度もありますので、この制度を利用すれば被害者の負担を更に減額することも可能です。

 自損事故の場合、交通事故といっても加害者がいないのだから一般の怪我と一緒です。
 3割だけが自己負担ということです。
 交通事故の場合、保険者の負担した医療費のうち、加害者に請求できるのは加害者の責任(過失)分となり、被害者の過失分は保険者が面倒みてくれるのです。

 このように、被害者に過失がある場合は、健康保険を使わないと治療費の自己負担が増大することになります。ただし、数回の通院治療程度の軽症であれば、被害者に過失があっても、1点20円や30円であっても、自賠責保険は被害者に重過失がなければ減額しませんので、自由診療でも被害者が不利になる可能性は低いです。

 いずれにしても、自賠責保険の上限額は120万円なので、治療費に限定されず、慰謝料や休業損害などトータルして検討する必要があります。

3.休業損害(傷病手当金)


 交通事故に遭っていまった場合、まずは怪我の程度と治療費が心配となります。
 治療費は加害者が加入してくれる保険会社が支払ってくれるということで一安心したが、治療期間が長期化してくると、次に生活費が心配になります。
 交通事故によって会社を休み、その期間の給与が支払われなれば、休業損害がいずれ加害者から支払われることになりますが、一体いつ支払われるのでしょうか?

 実は殆どの場合、示談のときなのです。
 そうなんです。示談しないと休業損害がもらえず、生活に困ってしまう可能性があるのです。

 自賠責保険には、仮払いや内払いの制度があります。
 ただし、この場合のように治療費を加害者の保険会社に支払ってもらっていると、「任意一括」といって、任意一括を解除しない限り仮払いや内払いの請求ができません。
  ※ 詳しくは  仮払い・内払い  任意一括の問題点 を参照

 なお、任意一括の場合であっても、示談交渉付きの保険商品を販売する際、保険会社は内払いする旨を約束したのですが、現実は期待できません。

  ※ 詳しくは  どうして保険会社は示談交渉できるのか?  を参照
 
 でも、健康保険には傷病手当金という制度があります。
 国民健康保険にはない制度ですが、業務外の怪我や病気で仕事ができなければ標準報酬日額の3分の2を給付してくれるのです。
 交通事故であっても請求できますので、通常の給与支給日より遅れ、また給与の67%程度になってしまいますが、示談まで受け取れないのと雲泥の差があると思います。
 もちろん、「第三者の行為による傷病届」の届出が必要であり、また、保険者が傷病手当金を給付すれば、医療費と同様に加害者に求償します。

4.治療費は誰が支払うべきか



5.なぜ保険会社は治療費を支払いたがるのか?



6.保険会社の担当医師は医師法違反の可能性?



7.医療機関にとって交通事故患者はウレシイお客さん



8.医療機関と保険会社



9.交通事故被害者の保護よりも7割回収を急ぐ保険者




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