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健康保険は使えます
健康保険はおトク
休業損害(傷病手当金)
治療費は誰が支払うべきか
なぜ保険会社は治療費を支払いたがるのか?
保険会社の担当医師は医師法違反の可能性?
医療機関にとって交通事故患者はウレシイお客さん
医療機関と保険会社
交通事故被害者の保護よりも7割回収を急ぐ保険者
交通事故と労災保険
自賠責保険優先のウソ
休業損害が最大120%
人身傷害補償保険(特約)
被災労働者保護よりも保険給付金の回収を急ぐ労働基準監督暑
交通事故被害者救済のため、国が定めた最低限の補償
支払基準
被害者請求
仮払い・内払い
被害者保護を目的とした過失相殺
任意一括の問題点
損害保険料率算出機構は味方か?
裁判所基準と自賠責基準
示談と損害賠償額
過失相殺割合は誰が決める
後遺障害の逸失利益は注意が必要
休業損害はいつ支払われる?
保険会社との示談交渉は時間の無駄
保険会社による治療妨害
示談以外の解決手段
障害等級は誰が決定する?
慰謝料と逸失利益
複数の後遺障害等級
事前認定の落とし穴
障害等級の異議申立
様々な公的保障
檜川社会保険労務士・行政書士事務所
所長 檜川 智 |
気軽に、親しみやすい事務所を心がけておりますので、皆様の身近な相談相手として、是非ご活用ください。
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檜川社会保険労務士・行政書士事務所
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交通事故の被害に遭われた場合、数日内に加害者が加入している保険会社の事故担当者から接触があるかと思います。
初めて会ったその担当者は、「大丈夫ですか?」などと紳士的な態度で近づき、「治療費は保険会社が負担しますから安心して治療に専念してください。」などと説明をして、被害者や被害者の家族の信頼をつかもうとします。
被害者や被害者の家族にとって、最初に心配なのは怪我の程度と治療費の心配です。
治療費を保険会社が支払ってくれるなら、安心ですよね。
こうして被害者は、加害者の保険会社に治療費を負担することをお願いし、保険会社が治療費を支払うために不可欠な診療報酬明細書や診断書を医療機関から取得することに同意し、同意書を保険会社に交付します。
これで、被害者は安心して治療に専念できます。
果たして本当にそうでしょうか?
確かにしばらくの間は、保険会社が治療費を医療機関に対し、支払ってくれるでしょう。
しかし、打撲なら1か月、ムチ打ちなら3か月、骨折なら6か月も経過すれば、保険会社は医療機関に対し、治療費を支払うことをストップしてしまうかもしれません。
そんなの約束と違う。そう思いますよね。
でも、保険会社はいつまでも支払いますよ。なんて約束なんかしていません。
確実なことは、保険会社が医療機関に対し治療費を支払うことは、あくまでサービスだということであり、保険会社が一方的に治療費を支払うことをストップしても法的には問題がないとされていることです。
治療費を支払う義務があるのは、被害者自身なのです。
被害者が治療費を負担し、その治療費を加害者に請求することが原則なのです。
結局のところ、被害者を経由せずに診療情報などが、場合によっては訴訟相手となるかもしれない保険会社に渡してしまう被害者自身の考えが甘いといわざるを得ません。
保険会社は、被害者の味方ではなく、被害者にとって敵なのです。
保険会社は慈善事業として会社を経営していているわけではなく、会社が利益を得るために1円でも会社が支払う保険金を少なくしようとして、被害者や被害者の家族にいかにも紳士的に近づいてくるのです。
ただし、保険会社はいつも悪者ではありません。
示談にしろ、裁判にしろ、損害賠償額が確定した場合には、確実に支払ってくれる有難い存在なのは間違いありません。
加害者が任意保険に加入していなければ、いくら判決で高額な損害賠償額を認めてもらっても、加害者に資力がなければ全く意味がありません。
さらに今回は被害者だったけど、次回は加害者になるかもしれません。
きっとこのときは、保険会社の存在が頼もしいものだと感じるはずでしょう。
さて、治療が長期化して仕事ができない場合、その期間の休業損害も支払われますが、休業損害はいつ支払われるのでしょうか?
殆どの場合、示談後です。
つまり、保険会社にお任せすると、慰謝料だけでなく休業損害も示談しないと受け取ることができないのです。
でも、保険会社にお願いしないと、治療費が大変だと思いますよね。
しかし、自賠責保険は被害者が示談前でも請求することができるのです。
そうなんです、被害者自身が治療費や休業侵害などを自賠責の被害者請求をするという選択肢もあるのです。
これでもまだ保険会社にお任せですか?
私は行政書士と社会保険労務士の資格を所有しています。
しかし、相手方と交通事故の示談交渉は、弁護士法第72条に違反しますのでできません。
でも、保険会社は被害者と堂々と示談交渉をしています。
なぜ、保険会社の示談交渉は法律違反ではないのか?
保険会社であっても被害者と示談交渉すれば、法律違反となります。
しかし、昭和48年9月1日、(社)日本損害保険協会と(財)日弁連交通事故相談センターの間で覚書が交わされ、その一つに「被害者の保険会社に対する直接請求権を新保険の約款上明記する。」とあります。
被害者が保険会社に直接請求できるということは、保険会社の立場は「加害者の代理」ではなく、当事者として被害者と示談交渉しているという解釈になります。
もちろん、「直接請求できる権利」ですから、請求しないこともできるのです。
簡単にいえば、保険会社とは一切交渉しないことも可能なのです。いいえ、こちらが原則なのです。
ただし、保険は上手くできていて、保険会社顧問の弁護士が登場してくる可能性大です。
この昭和48年9月1日付の覚書ですが、交通事故業務を行う上で保険会社が遵守しているとは、思えません。
特に、保険会社が「申し出があれば、損害賠償金の内払いを行って、被害者の経済的負担を軽減すること」です。
保険会社の提示額で示談しないと、損害賠償金は受け取れない。
覚書とは逆に、保険会社に示談交渉権があることで、示談しないと損害賠償金を受け取れない状況に追い込まれ、裁判などの手段をとれば損害賠償額が増えることを認識したとしても、1年後の100万円よりも明日の10万円を選択せざるを得ない方もおります。
さらに、保険会社の提示額が自賠責保険(傷害)の上限額である120万円以内のことさえあります。
この場合、いかにも保険会社が損害賠償金を支払うような態度でいますが、120万円を超えた部分を支払うのであって、120万円までは一時立て替えているに過ぎません。
任意保険は、自賠責保険の上限額を超えたときや、自賠責保険の対象でない損害賠償に対応するものですから、自賠責保険基準で算出し、その結果が自賠責保険の範囲内であるならば、示談交渉することができないはずですが、当たり前に示談交渉が行われています。
交通事故の損害賠償金を算出する基準として、自賠責保険の基準と裁判所(日弁連)基準がありますが、もう一つ任意保険会社の基準があります。
この任意保険会社の基準は、各保険会社が共同で作成していましたが、保険自由化と共に各社毎に作成するようになり、現在は公開されていません。
昭和48年9月1日付の覚書はどうなっていたのか?
「裁判所の認定基準に準ずる・・・・保険金支払い基準を作成し・・・・・。」とあります。
自由化により、統一した支払基準の作成ができないことはやむを得ないが、「裁判所の認定基準に準ずる」の部分は、平成9年3月25日付の確認書でも削除されていません。
しかし、保険会社の提示額の多くは、自賠責基準で算出されています。
被害者が加入している保険に「人身傷害補償保険(特約)」が付いていると、被害者の過失割合に関わらず保険金を受け取ることも可能です。
この保険金の支払基準は、保険約款で確認できます。
自賠責保険基準と比較すれば分かりますが、自賠責基準<人身傷害補償保険(特約)であることが容易に分かります。
覚書の都合のいい部分(示談交渉ができる根拠部分)を行使しているのだから、少なくとも自社の人身傷害補償保険(特約)の支払い基準以上で損害賠償額を提示すべきだと思います。
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